「行動」「きっかけ」「経験」で考える、あなたらしい自分軸の見つけ方

人生設計・目標設定

人には誰しも、続けている習慣があるのではないだろうか。たとえ意識していなくても、ずっと続けている行動があるはずだ。たとえば、私の場合は朝の筋トレ、洗顔後の顔パック、週末の飲酒がそれに当たる。なぜこれらがストレスなく続けられているのか。それをはっきり説明するのは難しいが、一つ確かなのは「メリットを感じているから」ということだ。筋トレなら、体を良い状態に保てることや、その努力をしている自分に満足感を持てることが挙げられる。

こうした継続している行動には、自分の価値観やポリシーが深く関係していると考えられる。特に、少しストレスを伴うがプラスになる習慣ほど、その傾向が強いのではないだろうか。そして、これをさらに広げて考えたとき、行動全体を支える「自分軸」を意識することが重要となる。「自分軸」とは、自分の考え方や行動を一貫して導くポリシーのようなものだ。では、それをどうやって見つければよいのか。

今回紹介するのは、そのヒントを与えてくれる一冊である。

きみの人生に作戦名を。】(梅田悟司・著)

自分軸を見つける第一歩は、この「見えない一貫性」に気づくことだ。

ついやってしまう「間違った自分軸の探し方」

就職活動や転職活動で「自分の強み」を見つけようとした経験があるだろうか。たとえば、「サークルの代表を務めた経験からリーダーシップに自信がある」「挑戦を楽しむタイプ」「成長できる環境で力を発揮する」など、自分の行動や特性をまとめていくのが一般的だ。この際、「具体的なエピソード」を通じてアピールすることが求められるため、自然と過去の行動に着目することが多くなる。

では、同じ方法で「自分軸」を探そうとしたらどうだろうか。過去の行動を振り返り、一貫性を見つけようとすると意外と難しいと感じる人が多い。自分の価値観に基づく行動が必ずしも明確に思い出せるわけではないからだ。ただ、過去の行動を振り返ってみても、それらがバラバラで、一貫したテーマが見えにくいと感じることが、自分軸探しが難しい本当の理由であるといえる。

このつまずきは、「自分軸」を行動だけに基づいて見つけようとする点にある。行動の背景にある価値観や考え方に目を向けなければ、散らばったピースを無理につなぎ合わせるような感覚に陥ってしまうのだ。

自分軸を見つけるには”きっかけ”や”学び”にも目を向けよ

行動だけに着目する方法では、自分軸を正しく把握するのは難しい。そこで役立つのが、同書で紹介されている「9マス思考法」というフレームワークだ。この方法を使えば、行動だけでなく、その背景にある「きっかけ」や「学び」を整理することができる。

9マス思考法の使い方

  1. 横軸:時間を「過去」「現在」「未来」の3マスに分ける。
  2. 縦軸:経験を「きっかけ」「行動」「学び」の3マスに分ける。
  3. この9つのマスに沿って、過去・現在・未来の経験を書き出していく。

最初に、過去と現在の行動を振り返り、「どんな行動を取ってきたか」を埋める。その後、各行動について「なぜその行動を取ったのか(きっかけ)」「そこから得られたものは何か(学び)」を考え、記載する。そして最後に未来について、「やりたいこと(行動)」「得たい経験(学び)」「その理由(きっかけ)」を埋めていく。

フレームワークの特徴と効果

この方法のポイントは、目に見える行動だけでなく、その背後にある「きっかけ」や「学び」にも焦点を当てる点だ。たとえば、単に「海外旅行をする」という行動があったとしても、そのきっかけや目的を整理することで、自分が何に価値を置いているかが明確になる。

自分軸を見つけるためには、行動の表面だけでなく、その背景にある価値観や考え方の一貫性を見つけ出すことが重要だ。9マス思考法は、その過程をクリアにする有効なツールである。

一貫性を見つけた先に、自分らしい人生を歩むために

まず、自分軸を見つけたら、現在所属している環境で軸足を定め、自分の得意分野で価値を発揮することから始める。仕事で例えるなら、チームや組織の中で、自分のスキルや強みを活かして成果を出す。このようにして軸足をしっかり固めたら、次は「はみだす」ステップだ。

はみだすとは、自分がこれまで関わってこなかった領域や、新しい働き方に挑戦することを指す。一見、慣れた環境を離れることは不安が伴い、価値を発揮しづらいと感じるかもしれない。しかし、自分の軸を理解した上ではみだすことで、新たな知見や価値観が広がり、自分の成長や自己肯定感につながるのだ。

はみだす際には「自分ゴト」「他人ゴト」「社会ゴト」という三つの視点を使い、提供できる価値を見極めるとよい。

  • 自分ゴト: 自分にとっての成長や学びを優先する挑戦。
  • 他人ゴト: 周囲の人々への貢献やサポートを意識した行動。
  • 社会ゴト: より大きな視点で社会に意味のある行動を考える。

この三つの視点を使って、自分がどの領域で新たな価値を創造できるのかを問い続けることで、より解像度の高い「人生の作戦」を構築することができる。

軸足を固めた上で、あえて新しい領域にはみだす。この繰り返しが、自分の生き方に深みを与え、新たな可能性を広げていく。このプロセスこそが、自分らしい人生を歩む鍵となるのである。

あなたが生きている理由を考える

「自分は何のために生きているのだろうか。」一見、大きすぎる問いにも思えるが、この答えを考えることで、人生に彩りや意味を見出すことができる。「これを実現するために生まれてきた」と自分で定義できたなら、その目標に向けて生きる日々は、より充実したものになるだろう。

もちろん、人生の目標を見つけることは簡単ではない。けれども、年の始まりに「今年は〇〇を叶えたい」と願いを込めるように、一度立ち止まり、人生の棚卸しをするのは意味のある時間だ。「自分が大切にしたいものは何か」「自分が目指すべきことは何か」を振り返り、その答えを見つけるきっかけにしてみてほしい。

この問いに向き合うこと自体が、すでにあなた自身の人生を深く考える一歩となる。

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