内向型のための生き方戦略

幸福・心の成長

「ここだけはおさえて」ポイント

  • どんな人におすすめ?
     MBTI診断で毎回I型(内向的)と診断される人/内向的な自覚のある人/E型の人(外交的な人)に劣等感を感じる人
  • ポイント①
     I型であることは、劣っていることではない。
  • ポイント②
     自分に目線を向けることで、生きやすくなる。
  • ポイント③
     外交的な振る舞いが求められるときは「マネ」や「なりきり」を実践。
  • 読みやすさ:★★★
     I型さんのためのTip集。「読む」というより、実践できるものを「試す」ための本といったイメージ。I型にとっては自分ゴトとして共感でき、読みやすいものと思う。

コミュニケーション、楽しい? それともしんどい?

MBTI診断について、数ヶ月ごとに結果が変わるという話もあるが、私自身は診断を何度か実施してみても、結果は常に同じだった。自分のタイプはほぼ変わらないということは、人間の根本的な部分はそんなに変わらないのだろう。

MBTI診断では、1番目に出る部分がE型(外交的)とI型(内向的)である。外交的に振る舞えるかどうかではなく、外交的な振る舞いを「好むかどうか」を示すものではないだろうか。(少なくとも自分はそう認識している。)つまり、生まれ持った特性が大きく影響する部分だと感じている。

語弊を恐れずに言うと、E型とI型は「他人とのコミュニケーションを楽しいと感じるタイプか、しんどいと感じるタイプか」が大きな違いとなる。もちろん、性格診断に良し悪しはないものの、E型が圧倒的に優れているように思えてしまうのが正直なところだ。もし選択肢があったなら、E型を選ぶのではないだろうか。

私たちの社会は、基本的に助け合いのものである。生活や仕事をしていく上で、コミュニケーション力が重要であることは言うまでもない。そうした中で、自然と外交的な性格を羨む気持ちは理解できる。

とはいえ、E型が大半を占めるわけではない。実際には1/2の確率でI型が存在する。そして、半数の人々がコミュニケーションを「しんどい」と感じる特性を持っているのだ。(もちろん、E型の人にも、仕事や学校でコミュニケーションが負担に感じる瞬間があることは理解している。)そんな内向的な人たちに向けて、コミュニケーションを少しでも楽に、そして生きやすくするための実践的なスキルを教えてくれる本がある。

I型(内向型)さんのための100のスキル】(鈴木奈津美(なつみっくす)・著)

鈴木奈津美(なつみっくす)

1980年、東京生まれ。元・外資系大手IT企業でエンジニアやマーケティング担当として活躍した後、2022年秋にはモビリティ関連の会社に転職。2019年に「母親を、もっとおもしろく。」をビジョンに掲げ、母親アップデートコミュニティ(HUC)を立ち上げ、数々の活動を通じて社会にインパクトを与えている。「なつみっくす」の愛称で親しまれる彼女は、2020年に一般社団法人「母親アップデート」を設立し、代表理事として全国から集まった約200人を超える有料会員のコミュニティを運営中。

「内向型=劣っている方」の認識を解く

「外交的であるということは、コミュニケーション力があるということ。」

E型といえば、やはりこのイメージが強いのではないだろうか。コミュニケーション力という、非常に重宝される能力が高いのであれば、やはりE型は優れているように感じてしまう。

では、I型は本当に劣っているのだろうか。「コミュニケーション力が低い」の一言で片付けてしまっても良いのだろうか。

当然ではあるが、I型にはI型なりの強みがある。

  • 優れた分析力がある
  • 本質的なものを見出す
  • 集中力がある
  • 人の気持ちがわかる
  • 書くことが得意

などである。コミュ力、コミュ力、と連呼される状況においてはどうしてもその優位性に目がいってしまい、I型の強みは忘れ去られがちとなる。しかしながら、I型はE型に劣っているわけでは決してなく、別の強みを持っているだけなのだ。

ついつい無いものねだり的な思考に陥ってしまいがちだが、まずは「内向型=劣っている方」といった認識をなくすことが大切だ。

自分自身に目線を向けることで、内向型の特徴が輝く

内向型の特徴は、まさにその名の通り、「自分の中でじっくりと考える」ことだ。悩みやすさを性格に基づいて一概に分類するのは難しいが、多くの人が悩みがちだろう。そんな内向性をプラスに生かす方法を、本書では教えてくれている。100個のスキルの中から、私が特に気になったものをいくつか紹介したい。

「スリー・グッド・シングス」を書く

寝る前にその日起きたよいことを3つ書き出すアクションである。実は以下のブログで紹介した1冊でも、ほぼ一致したアクションが推奨されている。特に内向型は自己内面に長けているからこそ、このように日々の楽しいことを振り返ることで、幸せを感じやすいのだ。脳科学的にも良いとされ、手軽に実践できるので、ぜひ試してみてほしい。

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「本を読まなきゃと思うけど、なかなか始められない…。でも、ちょっとだけ自分を変えてみたい。」そんなあなたにぴったりな一冊を、ライトな読書家目線でご紹介。

SNSでアウトプットする

SNSでのアウトプットと聞くと、E型の専売特許のように感じられるかもしれない。しかし実際、内向型にとっても有効だ。重要なのは「自分自身に目線を向けること」。SNSを利用する理由は、自己の可視化と共感を得るためだ。発信することで、自分の軸を認識でき、また内向型が持つ共感性を活かして、価値観の合う人とつながることができる。

自分の感情や考えに焦点を当てて、好きなことや自分が大切にしているものを発信する。自分の内向性を活かし、あえて「自分ゴト」として実践してみよう。

ちなみに、あなたの推しへの愛を言語化することは、あなた自身を愛することにつながる。以下のブログも合わせてチェックしてみていただくと、より自己理解が深まるハズ。ぜひ。

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「本を読まなきゃと思うけど、なかなか始められない…。でも、ちょっとだけ自分を変えてみたい。」そんなあなたにぴったりな一冊を、ライトな読書家目線でご紹介。

行動目標を立てる

次は、仕事や自己管理に関するスキルである。

  • 3件成約する(結果目標)
  • 3件資料をつくる(行動目標)

内向型に効果的な目標設定は、後者のような「行動目標」の方だ。結果目標はコントロールできない部分が多く、達成できなかった場合、自己嫌悪に陥りやすい。対して、行動目標は自分の手の届く範囲で設定できるため、達成しやすく、無駄に悩むことが少なくなる。また、これはE型にも効果的な方法だと思うので、両方におすすめしたい。

行動目標を設定しても達成できないことがあるかもしれないが、そのときは原因を見直して新たな目標を立てよう。重要なのは、自分がコントロール可能な範囲内で目標を設定し、それを達成することで自己肯定感を高めることだ。

「アイ・メッセージ」で伝える

内向型の多くは、言いたいことを伝えるのが苦手だ。それを解消する方法が「アイ・メッセージ」である。具体的には、「私」を主語にして伝えるというものだ。

「(あなたに)資料を準備してほしい」
「資料を準備してもらえると、(私は)助かります」

「あなた」を主語にすると、時に命令的に聞こえてしまうが、「私」を主語にすると、相手に対して柔らかい印象を与えることができる。自分の感情に目を向けて、それを伝えるというシンプルな技術だが、効果的なので取り入れてみてほしい。

このように、内向型の特徴を理解し、自分に目線を向けることで、内向性の強みを生かすと同時に、弱みもカバーできるようになる。少しずつ実践していくことで、よりよい結果が得られるだろう。

それでも外交性が求められる時の「マネ」や「なりきり」

I型は優れた分析力や観察力も強みである。そのため、身近な人の特徴を捉えることが得意だ。ゼロベースで考え「何かをやろうとしても、やり方がわからない」と壁にぶつかってしまうようであれば、まずは観察から初めて見ることがオススメしたい。

また、「どうなりたいか」がわからないときや、「自分らしくないかも」と感じるときは、理想の人になりきったり、役割を演じ切ることを意識するのが良いそうだ。まずはなりたいイメージを想像したり、求められている役割を考える。そしてそれを実践する。良い意味で自分とは違うものとしてなりきったり演じたりすることで、内向的な一面をカバーできる。

そしてこれらは、外交的な振る舞いが求められるときに力を発揮してくれる策となる。「マネ」や「なりきり」の強みは、行動にあらわれやすいことだ。マネをしよう、なり切ろうという意識を持つと、自然とアウトプットが起こる。「マネ」や「なりきり」によって、本来の自分を切り離し、その状態でアクションを起こすことで、自然と外交的に振る舞えるようになるのだ。なお、なりたい自分や求められている役割をイメージするのはI型の得意領域だ。やはり、I型のメリットを活かした戦略といえるだろう。

まとめ – I型の特徴を知り、鮮やかに活かすために –

まずはI型の長所を知ることから始めよう。外交型のメリットに目を奪われがちだが、自分自身を卑下せず、まずはI型の強みに注目することが大切だ。

その上で、I型の特性を活かした戦略を取ることが重要だ。I型には、I型ならではの戦略があり、それを実践することで、確実に生きやすくなる。

本書には、今回紹介していないI型向けのスキルも数多く掲載されていることに加え、内向型の著作を”内向型のまま”変えてくれた本が50冊も紹介されている。そんな内向型のバイブルとも言える一冊を、ぜひ手に取ってみてほしい。

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