フレキシブルな働き方やジョブ型雇用が増えている現代、私たちは直接的でなくとも「あなたの存在価値は?」と問われる場面が増えているのではないか。特に転職を考えている人や実際に行動に移している人にとって、これを強く実感しているだろう。
そもそも、存在価値とは何か。どんな状態を「存在価値が高い」と言えるのか。一見難しい問いに感じるかもしれないが、この本にはシンプルにその答えが示されている。
【ガチ存在価値 – あなたの姿勢で勝ちが決まる】(奥井奈々・著)
・何らかのプラスを生み出せる
・ありがとうといわれる(その回数を増やす)
この本によると、存在価値が高い状態とはこれだ。そして、この状態を実現できれば「存在価値の高い人間」になれる。
「なんだ、そんなことか」と感じる人も多いだろう。しかし、実際にこれを体現している人がどれほどいるか、考えてほしい。それほど多くはないはずだ。
目標は「なんだ、そんなことか」と思えるほど実に理解しやすいこと。しかし、それを実際に体現できている人は少ない。つまり、目標に向けてアクションを実践することが難しいということだ。
「いや、アクションがわからないから実践できないんじゃないか?」と思うかもしれないが、この本ではその疑問にもシンプルに答えが示されている。
具体的なアクションは本書に記載されているが、要約すると以下の通りだ。
- 「どうせ私なんて」という意識の枠を外すこと
- 挑戦と思考錯誤を繰り返すこと
「今のあなたは存在価値がある人間ですか?」と問われて、胸を張って「Yes」と答えられるだろうか。もし「No」なら、今の自分ではなくなるためのアクションを取る必要がある。「どうせ私なんて」といった意識を持っているのであれば、挑戦することができず、結果として変化も生まれない。挑戦できない人間は新しい結果を出すことができず、結果を残すことはできない。
もちろん、怖いと思うだろう。億劫に感じるし、周囲の目が気になることもある。だからこそ、この本では「人間の心理的特性をプラスに活用する方法」が説かれている。
挑戦できるメンタルを保ち、実際に行動に移すために効果を発揮するのが「小さな成功体験」だ。著者は、「自信は最初から持っているものではなく、小さな成功体験を積み重ねることで生まれる」と言っているが、あなたはどうだろうか。過去の成功体験が細分化した小さな成功体験に支えられているのではないか。そして、その成功体験によって「小さな成功そのもの」ではなく、「より大きな挑戦をしようとする精神」が育まれているのではないか。
「存在価値の出し方」に関して、この本は良い意味で意外性のない、当たり前の事実を突きつける一冊だ。内容はシンプルで読みやすく、そのシンプルさが本書の意外性を際立たせている。普段、読書の習慣がない人でも、自分を鼓舞したいと感じているなら、ぜひ手に取ってほしい。
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