論理で心をつかむ 感情的なコミュニケーション

コミュニケーション

三連休明けはやっぱりしんどい。まだ2日しか働いていないが、いつもより疲れが取れない気がする。完全週休二日の人や祝日関係なく働く人は、本当に尊敬する。そういえば、この前の三連休が今年最後の三連休だったそうだ。振り返ってみると、今年は1.5ヶ月に1回くらいのペースで三連休があった気がする。気づけば年末が近づいているので、残りの時間を充実させて、良い年末を迎えたい。

年末年始を待ち遠しく思う気持ちもわかるが、まずは目の前の疲れをなんとかしたい。今日はごく普通の平日だったため、疲れの原因は仕事にあることはすぐにわかる。さらに掘り下げて考えると、仕事量の多さよりも、むしろコミュニケーションにかかる負担が大きかったのだと思う。今日はミーティングが多かったから、きっと気疲れしたのだろう。実際、三連休前の金曜日は仕事量がもっと多かったが、一人で黙々と作業していて、三連休前のモチベーションのおかげでエネルギッシュに感じていた。

誰にでも通じるコミュニケーションの型を見つける

仕事におけるコミュニケーションに悩んだことがない人などいるだろうか。私はまだ、目上の方に対するコミュニケーションが多いため、その最適な方法を模索しているが、立場やポジションが下の方へのコミュニケーションも増えてきており、これもまた難しさを感じている。「目上の方全員に対して効果的なコミュニケーション」「目下の方全員に対して効果的なコミュニケーション」の二種類だけではなく、同じ目下の方でも、“手取り足取り指導する”パターンと“あまり口を出さない”パターンのどちらが効果的かは人によって異なるため、さらに複雑だ。そして、0:100のように一方的ではなく、それぞれのバランスがまた悩ましい。

しかし、「仕事というフィールドにおいて、どんな相手に対してもある程度ハマる、ベターなコミュニケーションの型が存在する」という考え方に気づけたのが、この1冊だった。

【『できる人は、「これ」しか言わない 1万人の話を聞いてわかった「一瞬で心をつかむ」伝え方』】(大塚寿・著)

効果的な伝え方を磨くための3つのポイント

書籍のタイトルからは、「できる人が言うことが箇条書きのようにテンポ良く記載されている書籍なのでは?」という印象を受けるかもしれない。しかし、決してそれだけではなく、コミュニケーションに関する深い考察もしっかりと記載されている。ここではその中から、特に印象に残った考え方をいくつか紹介したい。

① ボキャブラリーを増やす(会話の「あれ」「これ」を減らす)

自分の話に相手が興味を示すのは、どんな時か。社外の人と話す際、ミーティングの冒頭で雑談をすることも少なくないと思うが、趣味が一致した瞬間、会話がぐっと進みやすくなることは簡単に想像できる。「ゴルフ」「料理」「サウナ」「ゲーム」「食べ歩き」など、要は自分に身近な単語に引っかかるのである。そのため、ボキャブラリーを増やしておくことが大切である。

ボキャブラリーを増やす方法として、同書では「相手のボキャブラリーを盗むのが良い」と紹介されている。会話の中で相手がよく使う単語を意識的に取り入れるのだ。例えば、以前の会話で相手が「EVへの対応」という単語をよく使っていたなら、次に提案書を持っていくときに、「先日のヒアリングで伺ったさまざまな課題を解決すべく、提案をお持ちしました」という表現ではなく、「『EV化への対応』を実現すべく、ご提案をお持ちしました」とするのが効果的だ。後者の方が提案内容が狭まることもあるが、「EV化への対応」に焦点を当てた企業には深く刺さるアプローチになる。社外に限らず、相手のボキャブラリーを使うことで、コミュニケーションは一層スムーズになるため、ぜひ実践したい。

② 『全体像』を示し『作業』を示さない

これはリーダーに求められるコミュニケーションの型の一つで、部下に業務のお願いをする際の考え方だ。仕事のやりがいは、「自分が貢献していることを実感できること」にある。しかし、役職が下がるほど、自分の業務の貢献度合いが見えにくくなる。そのため、リーダーの役割は「仕事の全体像を示しながら、部下がどのように貢献しているかを伝えること」となる。安心感、つまり「貢献している実感」を感じてもらえれば、部下は主体的に動くようになるという。逆に、全体像を示さず、ミクロな作業だけを示してしまうと、主体的に動くことは難しくなる。

③ 時間軸をずらす

上司が上司である理由は、何だろうか。同書では、「広い視野」と「長い時間軸」で物事を考えられることが上司の重要な役割だと述べられている。部下がすぐにすべてを理解する必要はないが、「今私が言ったことを心のどこかにとどめておいてほしい」「今はそれでいい。でも、ずっとそれではいけない」「来週は違うことで悩んでいるかもしれないよ」といった言葉がけは、上司だからこそできるものだ。上司は部下が持っていない「広い視野」や「長い時間軸」を提供できるからこそ、上司なのだ。

個人的には、この③が最も響いた。コミュニケーションを強化したいと感じていた中で、「上司が上司である理由」を学べたことは非常に大きい。少し背筋が伸びるような気がするし、「説教臭くならないようにしつつ、本人が持っていない視野や時間軸を見せられるようになろう」と自戒させられた内容だと感じている。

まとめ

①〜③の考え方に加え、できる営業マンのコミュニケーション術なども紹介されている。しかし、結局のところ、すべてのポイントは「相手を思いやる」ことに集約されるのではないだろうか。つまり、これらは「人間という感情的な生き物」と円滑にコミュニケーションを取るための「論理的な型」だと言える。相手も一人ひとり異なる個性を持つため、100%ストレスフリーなコミュニケーションは難しい。だが、それでも60点を取るためのコミュニケーションの型は確実に存在するということを、この書籍で実感していただきたい。「コミュニケーションは千差万別だ」と放り投げてしまう人が少しでも減ることを、心から願っている。

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