なぜ貯める?なぜ使う?正しく知れば不安は消える

人生設計・目標設定

「ここだけはおさえて」ポイント

どんな人におすすめ?
・お金に関する漠然とした不安を抱えている会社員
・給料はあるのに「なぜか貯まらない」と感じる人
・知らないだけで損をしているかもしれない「お金の制度」を学びたい人

ポイント①
「お金の不安」は、”知らない”から生まれる
貯金がなかなか増えないのは、意志の問題ではなく、”知らない”ことが原因かもしれない。

ポイント②
会社員だからこそ知っておきたい「お金の守り方・増やし方」
税金、給付金、資産形成……会社員にとって、活用できる制度や選択肢は多い。しかし、知らないまま過ごしてしまうと、“気づかない損” をしてしまう。

ポイント③
お金は「貯め方」だけでなく「使い方」で幸福度が変わる
たとえば、同じ1万円でも、使い方で満足度が大きく変わる。

読みやすさ:★★★★☆
専門書のような堅苦しさはなく、「知っておけばトクする話」がコンパクトにまとめられているため、スラスラ読める。「お金のことをまったく知らない人」でも、すぐに活かせる実践的な知識が多い。

お金の不安を解消する第一歩

仕事でプロジェクトを進めるとき、最終的なゴールが決まっていなければ、何をどれくらい準備すればよいのか分からず、不安になる。これは多くの人が経験することではないだろうか。

実際、「プロジェクトにおいてどんな不安を抱えていますか?」と聞かれると、多くの人は「期日までに作業できるか」「目的に沿ったものが出来上がるか」と答える。しかし、実は「そもそものゴールが分からない」という根本的な不安を抱えている場合も多い。

人生における「お金」の不安についても、同じことが言えるのではないだろうか。

なたのお金に関する不安は、次のどちらに該当するだろうか。

  1. 老後までにいくら必要かは分かっているが、それを稼げるかが分からず不安
  2. そもそも老後までにいくら必要かが分からないから不安

おそらく、ほとんどの人は「2」と答えるのではないか。では、この不安を解消するにはどうすればよいのか。そのヒントを得られるのが、今回紹介する一冊だ。

図解 会社員のためのお金のキホン 】(井上ヨウスケ・著)

井上ヨウスケ

元役者という異色の経歴を持つファイナンシャルプランナー。2013年に独立し、講演やYouTubeを通じてお金の知識を発信。特にYouTubeチャンネル「井上FP事務所」は登録者12万人超、総再生回数1,300万回以上を誇る。

お金に縛られずに生きる方法を伝えるのが特徴で、数字だけでなく「どうお金と付き合うか」を重視する。オンラインスクールも運営し、実生活に役立つ知識を提供。著書に『38歳までに受けたい「甘くない」お金の授業』などがある。

「1」の不安を抱える人は、「毎月いくら貯めればよいか」「どれくらい支出を抑えればよいか」といった具体的なアクションを考えられる。一方、「2」の場合はゴールが不明確なため、何をすればよいのかが分からず、漠然とした不安が続いてしまう。

この漠然とした不安を解消するには、まず「いくら必要か」を大まかにでも把握することが重要だ。必要額を算出した結果、ショックを受けることもあるかもしれないが、現状の不安を「具体的な対策が打てる不安」に変えることができる。

本書では厚生年金額を計算する方法が紹介されている。計算式は以下のとおりだ。

厚生年金加入期間(年数) × 平均年収 × 0.0055

「年金の受け取りが70歳になるかもしれない」「今後の年収がどうなるか分からない」といった不確定要素は確かにある。それでも、一度計算をしてみるのがオススメだ。目的は正確な金額を出すことではなく、不安を解消し、具体的な行動につなげることだからである。

あなたやあなたの家族のライフプランを考えるきっかけとして、本書を活用してみてはいかがだろうか。

知らなきゃ損!活用すべきお金の制度

ニュースなどで税金の話題を目にすることが多く、お金に対する不安を感じやすい。しかし、実は知っているだけで得をする制度も数多く存在する。同書で紹介されているものを紹介する。

傷病手当金

病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から給与の約3分の2が支給される制度。支給期間は最長1年6カ月。ただし、会社員のみが対象となる。

育児休業給付金

雇用保険から支給される制度で、育児休業中の収入を補助する。開始から6カ月間は給与の67%、それ以降は**50%**が支給される(子どもが2歳になるまで)。

介護休業給付金

親の介護などで仕事を休む際に活用できる。日給の67%が最長93日間支給される。分割での取得も可能。

教育訓練給付制度

一定期間雇用保険に加入していれば、対象の資格講座の受講費用の一部が補助される。人気資格も多いため、一度チェックしておきたい。
▶ 厚生労働省 教育訓練給付制度


実際に、自分も育休中の補償があることを知らなかった。無給だと思い込んでいたのだ。読者の中にも、「教育訓練給付制度なんて聞いたことがない」という人がいるのではないか。

日本には、知るだけで得をする制度がまだまだある。すべてを一度に活用するのは難しいが、一つずつ知り、活用していけば確実に差がつく。「知るは強し」だ。まずは、使えそうな制度をチェックしてみよう。

お金は「幸せを感じるための手段」

「今を楽しみながら、将来の安心も確保する」――本書の大きなメッセージはここにある。

老後に向けて貯蓄することは大切だが、ただ不安を埋めるために貯め込むだけでは、人生そのものが窮屈になる。重要なのは、その過程をどう楽しむかだ。

しかし、若い頃は体力も気力もある一方で、資金が不足しがち。だからこそ、活用できる制度を知り、賢く使うことが重要となる。

「将来への不安」を考えると、つい貯めることばかりに意識が向きがちだ。しかし、「お金をどう使うか」に目を向けることも、人生の豊かさを決める重要なポイントとなる。

1万円を自由に使えるとしたら、あなたは何に使うだろうか?
服、ゲーム、食事、旅行、本……選択肢はさまざまだ。

では、過去を振り返ったとき、「本当に使ってよかった」と思えるお金の使い方は何だろうか?

本書では、「満足度の高い支出」と「後悔した支出」を分析することが勧められている。お金には限りがあるからこそ、「幸福度の高い使い方」を意識することが大切なのだ。

使う金額自体は変わらなくても、満足度が大きく変わる。これは、ある意味で最も“おトクな”お金の使い方ともいえる。

まとめ – 「正しく知ること」が、お金の不安を解消する第一歩 –

「給料日前になると、いつもカツカツ……」そんな状況に悩む人は多い。しかし、その原因は「行動」ではなく、「知識」や「お金の捉え方」にあるのかもしれない。

「いくら必要なのかわからない」状態では、不安がつきまとう。
「頑張って貯金しているけど、なんとなく味気ない」なら、それは安心感はあっても、幸福感は足りていないのかもしれない。

本書は、具体的な知識や実践的な方法を紹介するだけでなく、お金との向き合い方を見直すきっかけにもなる1冊だ。内容も決して難しくないため、ぜひ手に取ってみてほしい。

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