才能に頼らない、仮説の立て方

クリエイティブ思考

「ここだけはおさえて」ポイント

どんな人にオススメの1冊?

🔹意思決定をより速く、正確にしたいビジネスマン
 - 日々の意思決定に時間がかかり、もっと効率的に判断できるようになりたい
 - 複雑な状況でも迅速に答えを導き出し、仕事の生産性を向上させたい

🔹 困難な課題に直面している企業の経営者やマネージャー
 - 会社や業界での問題解決に対して、明確で効率的なアプローチを身につけたい
 - ビジネスの難題に対して、素早く適切な判断を下したい

🔹 クリエイティブ職の人
 - 新しいアイデアを生み出すための効率的な思考法を学びたい
 - 自分のアイデアをより具体的に実現させる方法を探している

ポイント①:「才能」ではなく、「型」で仮説をはじき出す

「一瞬で仮説をはじき出す力」は、才能に依存するものではなく、誰でも「型」を習得することで身につけられる。重要なのは、その型を繰り返し実践し、自分の思考に染み込ませることだ。仮説を立てる力は特別な才能ではなく、普遍的な方法を学べば誰でも高められる。

ポイント②:鋭い仮説を出すための「6つの要諦」を身につけよう

「一瞬で仮説をはじき出す」ための型には、6つの要諦がある。それぞれの要諦を理解し実践することで、誰でも鋭い仮説を迅速に導き出す力を身につけられる。この方法を習得することで、仮説を立てる力が格段に高まる。

オススメ度:★★★★☆

「仮説をどのように導き出すか」という、多くのビジネスマンが直面する課題に対し、著者は自身のコンサルタントやビジネスプロデューサーとしての豊富な経験をもとに、論理的な解答を示している。内容は明快で理解しやすく、一度読んだだけでは習得しきれない部分もあるため、手元に置き、何度も読み返すことがオススメ。

「才能」ではなく、「型」で仮説をはじき出す

近年、生成AIが大流行しているが、問題を解決する力以上に、適切な問いを立てる力、すなわち「仮説を生み出す力」が重要視されている。

しかし、「普段、どのように仮説を立てていますか?」と問われると、多くの人は明確に答えられない。「仮説を立てる」という行為が漠然としており、その方法が一定でないと感じるからだ。また、学校で公式のように教わるものではなく、仕事を通じて身につけるものというイメージも、その曖昧さを助長している。

しかし、どうやら仮説をはじき出すことは、「十人十色の、才能や頭の良い人だけのテクニック」という訳ではなさそうだ。どんな人も、その思考法を習得することで、正しく仮説をはじき出せるようになる。

今回は、そんなビジネスパーソンに必見のスキルを教えてくれる1冊をご紹介。

瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す】(山川隆義・著)

山川隆義

京都大学工学部および同大学院で精密工学修士号を取得した後、横河ヒューレットパッカード(現・日本HP)やボストンコンサルティンググループでの経験を積んだ。 

2000年、ドリームインキュベータ(DI)の創業に参画し、取締役CTO、取締役副社長を経て、2006年に代表取締役社長に就任。 DIでは、ベンチャー企業の投資・育成や大企業向けのコンサルティングに従事し、ソースネクストやサンワカンパニーなど多くの企業のIPOに貢献した。 

2020年6月にDI社長を退任後、ビジネスプロデューサーとして活動を続け、2021年1月には株式会社BitStarの社外取締役に就任した。 さらに、2022年6月からは株式会社エフピコの社外取締役も務めている。

仮説を生み出す力を身につけるために、必要なことはそれほど多くない。著者も本書で述べているが、思考法の本を読んだことがある方であれば、この事実に納得できるだろう。そもそも「思考法の本」が存在するということは、ある程度普遍的な「型」が存在することを示している。「仮説を生み出す」という行為は、いくつかのステップから構成された「型」により、誰にでも習得可能なのだ。

鋭い仮説を出すための「6つの要諦」を身につけよう

鋭い仮説を生み出すためには、以下の6つの要諦を理解し、実践することが重要である。

  1. 求められる仮説とは、「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を捻り出すこと
  2. 仮説構築をするためには、事象が起きたメカニズムを探る必要がある。メカニズム探索では、「歴史の横軸」「業界知識の縦軸」そして、その事象が起きた「背景」を意識する
  3. 導き出した仮説を「メカニズム」として頭の中に格納し、それらをアナロジーで利用する
  4. 事例などのインプット量が仮説を導き出す速度と精度を決める
  5. 「一を聞いて十を知る」人ではなく、「一を聞いて十を調べる」人が仮説を出せるようになる
  6. あらゆる局面でエクスペリエンス・カーブを意識する

これらの要諦を組み合わせると、以下のような流れになる。

「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を捻り出す(1)には、多くの知識をインプットしておく必要がある(4)。相手(自分より知識を持っている人)の話を聞いて、十を知ることができないのであれば、調べるしかない(5)。その際に有効となるのが「歴史」と「業界知識」に基づいた調査と、過去・現在の事象が起きている「背景」を知ることだ(2)。これを実践していくことで、効率的に知識を結びつけられるようになり(6)、類似した特徴や共通点を持つ別の事柄を活用して(3)、「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」(1)をはじき出せるようになる。

要するに、「インプット」、つまりどれだけ知識を持っているかが重要である。多くの知識を持つことで、それらを結びつけて考える力が養われる。これは難解なフレームワークではなく、むしろ当たり前のように思えるが、本書の重要なポイントである。

少し話が逸れるが、「センスの良い発想ができるかどうか」も知識の量や深さに影響される。具体的には、「センスの良い(=普通とは異なる)発想をするためには、まず普通であることを知っていなければならない」ということだ。仮説を生み出す思考フローと共通する点がある。「相手が知っていること」に該当する「歴史」「業界知識」「背景」を知らなければ、「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を導き出すのは難しいだろう。

まとめ – インプット、インプット、インプット

仮説を立てる力を身につけるためには、まずとにかく「インプット」を繰り返すことが重要である。経験を積みながら、効率的なインプットの方法や重要な領域を見極める力も養われるだろう。しかし、最初のうちは「インプットしよう」と意識的に取り組むことが肝心だ。

仮説を導き出すためには、自分が持っている知識に加えて、相手が知らない知識を持つことが求められる。それによって、「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を見つけ出すことができるのだ。

このことを胸に刻みながら、ぜひ本書を手に取って仮説力を高める挑戦をしてみてほしい。知識を深めることで、どんな問題にも新しい視点を持ち込むことができるだろう。

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