【ポイント】
- 隠れたホンネを見つけ、それを言語化してあげることで、人は動く
- 一般的、平均的なホンネを探るのではなく、あくまでも主観(あなたがどう感じるか)を軸にホンネを探す
- 読みやすさ:★★★(むずかしくはないものの、少し長め。部分読みのみでも参考になる内容もアリ。)
センスの発揮方法を学ぶための1冊
今回もセンスにまつわる1冊。特に言語化を起点として、センスの良いモノ作りに至るための考え方をまとめた1冊である。
【センスのよい考えには、「型」がある】(佐藤真木/阿佐見綾香・著)
タイトルの通り、センスの良いモノを生み出すための思考の型を学べる1冊である。型というだけあって、ロジカルである。いわゆる才能だよりではなく、実践に移しやすい考え方が記載されているし、(自分にはものすごくクリエイティブな感性が備わっているわけではないため)やはり「なるほどな」と感じてしまう内容が記載されていた。いくつかご紹介させていただく。
「センスが良い」と「それそれ!」が生まれる
センスが良いとはどういうことだろうか?人によって解答がバラバラになりそうだ。センスというものが才能ありきでなんとなく漠然としているからだと思う。
同書では、まず「インサイト」について定義されている。これは「隠れたホンネ」である。裏垢に書くようなホンネ、言語化されていない心理などのことである。友人から思いがけず「あの人のことが好きなんでしょ」と指摘されて、はじめてそれを自覚することが、「隠れたホンネに気づいた」ということとなる。
そしてこのインサイトを言葉にしてあげることが「センスの良い言語化」である。本人がうっすら自覚、または自覚していない感情を言語化し「それそれ!」「わかる!」「自分もそう感じてた!」とクリアにしてあげること、そのホンネに則ったクリエイティブを発揮することで、人は動くのである。
センスには「もっとも個人的なこと」が必要不可欠
この「隠れたホンネ」であるが、見つけ方がある。
- 日常の違和感に目を向ける
- その違和感がどんな常識/定説に対してかを考える
- 常識の裏に隠されたホンネ/疑問を考える
- ホンネを言語化する
- 他人に伝える
といったフローである。
この型の全体像をインプットすれば良いのだが、すぐには難しい。そのため、今回は自分が参考になったと感じている、違和感への目の向け方に絞って伝えさせていただく。
「違和感」とは予測誤差が大きいときに生まれるものである。「自分としてはネガティブに感じていたけれども、チームメンバーはそうではない」「みんなが辛すぎると感じていたけれども、自分の口にはあっていた」「階段が滑りにくい素材であったため、予想より昇りやすかった」など、思っていた予測と事実が異なる場合に違和感を感じるのである。
そしてこれは「主観」である。ここが重要だ。みんなが感じると予想できる違和感を考えるのではなく、あなたが「あれ?」と感じるポイントを探すことが、インサイトを見つける方法なのである。自分自身の感情に目を向けよ、ということだ。どことなくアートの楽しみ方にも似ている印象。
とはいえ、どうすれば感情への目線の向け方を養えるのか、といった疑問が湧いてくるだろう。同書では感情が動かされる3つの瞬間について紹介されている。
- 人との会話や交流
- 身体的な経験(料理、レジャー、旅行、運転など)
- コンテンツ視聴
いずれも、外部からの刺激を受けた瞬間であることがポイントだ。刺激に対し、自分がどう感じたか、受け止めたかを捉えられるようになることで、ネクストステップである「自分がどんな常識に対して疑問を抱いているのか」を認識しやすくなるのである。ちなみに、自分自身「あれ?」はすぐに忘れてしまう傾向があるため、できるだけすぐに言語化しておく、メモしたりSNSで呟いてみたりすると良い。これがセンスを磨くための1歩目ということになるだろう。
まとめ – センスはあなたの課題に対して発揮するもの –
同書では、
- 問題:発掘される、解消すべきもの
- 課題:自ら設定する、実行すべきこと
と定義している。既に存在している「問題」に対し、その解消につながるだろう「課題」を定義し、実行していくことが問題解決である。そして課題は人それぞれ異なるからこそ”自分なりの”隠れたホンネを見つけることが大切になってくる。隠れたホンネは才能ではなく「型」で探す。より詳細なメソッドはぜひ同書を読んで身につけてみてはいかがだろうか。
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