天才とはどのような人のことを指すのか。大きな物事を簡単に成し遂げる人、さまざまな分野の難しいことを軽々とこなせること、努力の天才…、自分のイメージとしてはそんなものだ。
「努力」と「才能」のどちらが重要なのかといった議論は良く耳にするが、成功を掴み取るためには「努力」と「才能」が両方必要なのだろう。潜在的にそれが分かっているからこそ、先天的で自分ではどうしようもない「才能」のなさを恨んだりしてしまう。一方、“億万長者になりたい”、“一生ハワイで暮らしたい”といった大きな目標だけでなく、“ダイエットしたい”、“早起きを1ヶ月継続したい”といった身近な目標に対する努力すら難しいのが人間である。絶対になんとかならない「才能」と、自分次第でなんとかなるものの、なんとかするのが難しい「努力」により天才になれるのであれば、その道のりは険しい。
よって、怠惰な自分に屈強な精神に打ち勝ち、努力を継続していかなければ、天才になれないのか、という仮説が成り立つのだが、それに対する“No”というか、違う視点を取り入れてくれるのが本書である。
【誰でも”天才になる”方法】(カリス AI東大博士・著)
同書によると
“天才 = 志 × 目標 × 戦略”
なのだそうだ。
まず、天才になるためには、地道なアクションをコツコツと継続していかなければならないことは確からしい。しかしながら、それを屈強な精神で乗り越えていくのではなく、できるだけ継続が続くような工夫をしていくことが重要であり、この考え方を知っておくことが、普通との違いを生むコツなのではないかと感じた。
そしてこのコツというものが、「志」「目標」「戦略」から成るそうだ。
最初に「志」であるが、これはわかりやすい。自分のなりたい姿や願望、将来像を持っていることが大切ということである。純粋に“自分がなりたいと感じる今より良い自分を持っていないと、頑張れないよね”ということだ。ピストルがなった段階で自分の走る距離を知らされていなければ、42.195kmを走り切れる人の数は大幅に減ってしまうのではないかと思う。
次に「目標」である。ここでは逆算思考を取り入れることが大切だという。なりたい姿や叶えたい願望を実現するために、現状の自分とのギャップを把握し、その差を解消していくような目標を立てていく。同書には時間の有限さを認識し、やるべきことだけをやる大切さが記載されているが、目標を立てることでこの“やるべきこと”がクリアになるのだそうだ。
とはいうものの、やはりその目標を達成するためのアクションをなかなか起こせないのが人の性である。そんな重い腰を上げるために必要なのが「戦略」である。同書は自分にとってココが刺さった。
まず意識面で心に響いた内容は「普通の人は、同じことを繰り返し行い、違う結果を期待するから、普通なのだ」である。当たり前のことであるが、違う行動を取らなければ、違う結果は生まれないとというごく当たり前のことを忘れていたことを実感させられた。無難な選択をしてジリ貧になることを避けるためには、勇気あるエゴイストとなり、自分のやりたいことをやりきるスタンスを取るべきだという。少しばかりお尻を叩かれるような感覚に苛まれるものの、背中を押してくれる良い言葉である。(ちなみに「狂気とは即ち、同じことを繰り返し行い、違う結果を期待すること」といった記載もあった。)
自分の現状を受け入れることも大切だそうだ。どんな人にとっても現状の自分に対するコンプレックスや弱み、劣等感があるものと思うが、それを受け入れることで、自分に対する「疑念」が生まれなくなる。“自分にそんなことが成し得るのか”という「疑念」こそが、天才への道を険しくさせるのだから、甘えという感覚を捨て、まずは自己受容から行なってみてはいかがだろうか。
また、行動面で響いた内容は、環境・習慣・仕組みづくりの重要性である。
環境については
・自分の得意なことで評価される状態を作る、身を置く
・周りに仲間を増やし、ポジティブな影響を受けて自分もポジティブになることで、挑戦や体験を享受しにいく(≒挑戦や体験に飛び込む恐怖心を低減させておく)
・目標に向かうためのアクションを習慣化しておく
といったことが記載されてあった。一見人間の性に抗うような努力を着実にこなしていくことが天才の成り方であると感じてしまうが、人間の特性を活かし、少しでもその努力が努力なく(≒努力と意識せず、無意識的に)行える状態を構築することが重要である。同書には勉強に対するコツも記載されているのだが「手間を惜しむための手間を惜しまず、要領よくやれば、勉強は全然難しくない」「当たり前を当たり前にこなせば、誰でも『勉強の天才』になれる」だという。なお、習慣化や仲間の増やし方に関する具体的なやり方については、今後そのような書籍に巡り合うような気がするため(根拠はナシ)、ここでは割愛をさせていただく。
軽い言葉になってしまうが、「継続」「仕組み化」とかって、大事そうである。天才にさえなりうるアクションなのだから、目を逸らしたく成る「はじまりの小さな行動がやがて大きな結果を生むという事実」に向き合っていかなければ。
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