人生における主体性と自己肯定感

自分の人生を生きる

「ここだけはおさえて」ポイント

  • どんな人向け?:やりたいことがない人 / 自分の生き方や仕事が正しいかどうかモヤモヤしている人
  • ポイント①:「自分を好きになる生き方」をするためには、自分の頭で考え、主体的に選択した人生を歩むことが必要
  • ポイント②:人生に幸福を感じられないのは、「やりたいことがやれていないから」の他に「やりたいことがわからないから」といった理由も存在する。そしてそれを打破するためのアクションが「思い出配当」である
  • 読みやすさ:★★★(文章のは読みやすい。ただ、同書の内容に対し、自分なりの意見を投げかけるとより効果的な1冊となる。この手間を踏まえての評価。)

”自己”肯定感を得るために、他人の存在は必要ない

自己肯定感。生き方やマインドフルネスに関する自己啓発書でよく取り上げられるキーワードである。さまざまな切り口で自己肯定感の上げ方や保ち方が説かれているが、本を読む人であろうとなかろうと、健やかな人生を生きる上で自己肯定感が必要であることは自明だろう。

では、自己肯定感とは何なのだろうか。どんな心理状態だろうか。

自分に嫌われない生き方】(谷口たかひさ・著

タイトルの通り、同書は自分を好きでいるための考え方や行動を学ぶための1冊である。

– 自分で決めることができて、自分のその決定を自分で尊重できること –

これが同書に記載されている”自己肯定感”の定義である。

自分の価値について思考する際「どうすれば他人に認められるようになるだろうか」と考える。存在価値があること = 周りにプラスの影響が与えられること、なのだから、他人からの評価が存在価値の大きさを決める。

一方、自己肯定感は、必ずしも他人からの評価に影響されない。自分が主張する考えや取るべきアクションを選択でき、それを尊重できれば良いのである。尊重できるか否かを判断する際「他人を幸せにすることができるから」といった理由によって”尊重できる”と思うことはあり得る。一方、「他人がどう思うかは別にして、自分ではその思考 / 行動を尊重できる」のであれば自己肯定感は高まるし、「他人を幸せにできる思考 / 行動だけれども、なんとなく尊重できない」のであれば、その思考や行動に至った自分を肯定するのは難しい。

自己肯定感を得られるかどうかは、主体的な価値観に基づくのである。

「やりたいことがわからない」思考に陥るのは、日本の教育が原因

– 自分の頭で考えて、自分の人生を歩む –

これが、自分に嫌われない生き方、つまり、「こういう生き方って素敵だよね」、という感覚のもと、幸せな人生を歩むためのポイントである。

要は、自己肯定感が高い人生を歩むことができればよいのである。ただ、日本人はこのような生き方をするのが得意ではないという。

  • 「〇〇(勉強、貯金、お手伝い、etc…)しなさい!」
  • 「〇〇(ゲーム、騒ぐこと、寄り道、etc…)はダメ!」

このように”あーしなさい”や”あれはダメ!”と義務を教えられる教育方針が採られていることが理由である。一方「やってもいい(=やらなくてもいい)」といった指導はされない。そしてこのような思考のもと大人になってしまうと、自分なりの正しい・間違ったという基準が持てず、”やりたいことがわからない”状態に陥ってしまう。

自己肯定感は「自分のやりたいことができていない」状態に陥ると、向上しない。ただ、この状態であれば、”やりたいことを実現するには、どんなアクションが必要か”とポジティブな発想をすることで事態を好転できる可能性がある。一方「やりたいことがわからない」状態の場合、どんなアクションが必要となるかを検討しづらい。教育の仕組みが確立され、多くの情報に晒される時代だからこそ、このような状態に陥っている人も多いのではないだろうか。

やりたいことを見つけ、幸せに生きるための「思い出化」

人生という長い期間において自分が実現したいことを見つけるのは難しい。一方、「これ、やってみたいな」といったピンポイントかつ、仕事に関係がないやりたいことはいくつか存在するのではないだろうか。スカイダイビング、海外生活、三つ星のフルコースなど、なんでも良い。

そして思い浮かんだやりたいことは、多少の出費が伴うものであったとしても人生のうちのなるべく早い段階で実現した方が良い、というのが同書のスタンスである。

「思い出配当」とは、過去の思い出に浸り、幸せを噛み締めることだ。スカイダイビングをやりたいのであれば、人生の早い段階で実現すればするほど、残りの人生で思い出す回数も多くなり、幸せを実感する回数も多くなる。過去の人生における幸せだった瞬間を振り返ると、モノを買った瞬間ではなく、何らかの経験をした瞬間が思い浮かぶのではないだろうか。多少の出費がかさんだとしても、やりたいことは早く幸せな思い出に昇華してしまうべきである。

そうは言ってもなかなか実現できないと感じるあなたは、「やらない怖さ」について考えてみてほしい。あなたが人生のうちにやってみたいと思うことを実現できずに将来を全うしてしまうとしたら。真剣に考えると有り得る話だし、嫌だなと感じてしまうだろう。このような状態になってしまう可能性を踏まえると、なるべく早く思い出化してしまうのが良いということも頷ける。

人生の中でやりたいことを思い出にすると、何か新しい発想や気づきが生まれてくる。もしそこまで大それたものではなかったとしても、新しいやりたいことが芽生えてくる。そんなことを重ねていくうちに思い出配当が溜まっていくし、人生を通してやりたいことが思い浮かんだりもする。やりたいことをやることは、決してわがままではなく、主体的に人生の幸せを見つけるためのステップと言えるだろう。

まとめ – 自己肯定感を上げるためのヒントは、あなたの”やりたいこと” –

2025年。あなたがなんとなくやりたいことを1つ実現する年にしてみてはいかがだろうか。1年を振り返るタイミングで「できた or できなかった」がハッキリする分、漠然とした目標を立てるよりモチベーションにもつながるだろう。同書には「小さいことから実践しよう」といったアドバイスも存在するため、小さい思い出化を積み上げて自己肯定感を上げていくのも良いのではないだろうか。ちなみに自分は正月明けの減量と仕事を思い浮かべすでに挫けそうだ。一緒に頑張りましょう。本年も何卒。

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