誰もが使える”環境の魔法”

成功する

3連休初日、雨。美術館に行きたいというモチベーションはあるのだが、少しだけ億劫。”アート思考”・”クリエイティブ”・”美術館の裏側”といったことに関する自己啓発本に触れ、その感覚や思考が新鮮なうちに訪れたいのだが。

美術館、作品もそうだが、あの神聖さというか、荘厳さに触れられることもメリットではないかと思う。なんとなく背筋が伸びるし、プラスのオーラに触れている感覚もある。神社・仏閣も同じだろう。伊勢神宮・日光、ベタではあるが、また訪れてたい。前に訪れた際はいずれも少し雨に降られたと記憶しているが。

この、美術館や神社を訪れた際の「いつもよりちょっといいことしている感」を感じるのは自分だけだろうか。会話をする際も少し声を落としたり、なんとなく自分の内面に触れてみようとすることも私だけではないのではないか。もしそうではないのであれば、それは”環境の力”によるものといえるのでは。今回はそんな環境を変えることに関する書籍のご紹介。

【移動する人はうまくいく】(長倉顕太・著)

– 自分の行動を変えたいのであれば、環境を変えなさい –

この書籍のメッセージをひとことでまとめるとすれば、これではないかと思う。

1年間の留学を経て帰国した際、明らかに自分の考え方や行動の変化を感じたことはないだろうか。中学校時代はそこまで目立つ成績ではなかったのに、なんとか志望していた高校へ進学した途端に成績が伸びたこと友人はいないだろうか。転職した先の会社で、驚くほどエネルギッシュに働いている元同僚はいないだろうか。本人の努力ももちろん重要であるが、その努力するきっかけを生み出し、継続させた要因が環境であるならば、今の場所で歯を食いしばって努力をするより、環境の力に身を任せた方がベターなのだという。

同書によると、環境を変えることによるメリットは2つ。「自分の選択肢を増やすこと」と「とるべきアクションを躊躇いなく講じることができること」である。

現代社会はあらゆる情報にアクセスすることが容易であるが故、他人の欲望を自分の欲望と勘違いしやすい。自分の中の選択肢を開拓し、本当に自分が実現したい夢は何なのかを察知する感覚を研ぎ澄ませるために、環境を変え、”初体験”に触れることことが大切なのだそうだ。現状の自分の中にはないものに触れ、選択肢を増やしていくことで、自分の人生の主導権を自分が握ることができる。マイホームを買うことは本当に自分の人生の幸せなのか、ブランド物に身を纏っている自分自身は、本当にあなたが望んだ姿か。今の自分より選択肢が多くなった状態で物事を考えてみると、今より人生を好転する気がしないだろうか。

なお、自分の強みを探しても、自己啓発セミナーに通っても、成果が生まれづらいのは、未来を過去の自分の延長線上の人生として捉えているからであるという。著者の考えでは自己啓発書も延長線上の思考に陥るツールの1つなのだというから、耳が痛い。行動が変わらなければ結果も変わらないので、その点は肝に銘じたい。(とはいえ、重い腰を上げるためにより効果的なのは、環境を変えることなのだろうなとは感じている。)

もう一点「とるべきアクションを躊躇なく講じることができる」メリットについて。

学生時代に多数決をとった際のことを思い出してほしい。提示された2つの選択肢のうち、あなたの考えは間違いなくAである。しかしながら、「Aだと思う人は挙手してください」と言われたタイミングで、明らかに挙手しているクラスメートが少ないと感じられた際、挙手できなかったことはないだろうか。

また、偏差値55のCさんが、偏差値60の高校と偏差値50の高校に入学した場合、偏差値65の大学に合格する可能性が高いのはどちらだろうか。明らかに前者であろう。始まりの段階では偏差値が同じで、どちらの高校に行った場合でもゴールの高さや必要な勉強量は変わらない。しかしながら、自分が偏差値65の大学に入りたいと考えている場合、それを実現するためのアクションの講じやすさは明らかに異なるだろう。偏差値65の大学を目指す生徒がマジョリティであり、それが自分の志と一致しているのであれば、自然と重い腰は上がる。

同書の中で”人間は 環境 → 感情 → 行動 で動く”という記載がある。重い腰を上げる努力をするのではなく、重い腰を上げるための工夫(=環境を変えること)をしなさいということだ。努力しなくても成果を残す方法を謳っている書籍は少なくないが、類するメッセージが記載されているのだろうと想像する。もし本当にそうなのであれば、読書家がよく言う「自己啓発書にはどれも似たようなことが記載されている」説が現実味を帯びるので、この確認は今後の宿題とさせていただきたい。

相変わらず雨は降っているが、小雨。移動することでより良い3連休のスタートダッシュを切りたい次第。

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